5/11
前へ
/51ページ
次へ
「うちに帰りたくなかったからかな。」哀しげな微笑を僕にむけた後、彼女は話をつづけた。「私の母親って、小さい頃に病気で亡くなってるの。それでね、父親とずっと二人ぐらしだったんだけど、中学生の時に父が再婚する事になったんだ。反発する気持ちは無かったわけじゃないんだけどね、父の為にも笑顔でおめでとうって言ってあげようと思ってうけいれたの。でも、実際生活するようになって、疲れちゃって。新しいお母さんは悪い人じゃないんだけど、私に気を遣ってるのが明らかにわかるかし、私は私で、いい娘を演じてる感覚だから、全く我儘もいえない人間になっちゃった。お互い本音の言えないまま家にいるから、息がすごくつまるの。だから私、バイトして、お金ためて一人ぐらしするつもり。」雅美はそういってコンビニで買った桃ジュースを一気に飲みほした。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加