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「隣のクラスの友達。」彼女は僕の視線の先に目をやる。「女の人?お父さんと一緒にいるんじゃないの?」「男。女の子みたいにきれいだよね。」次にみた時相原は男とどこかに消えていた。僕が考えこむと彼女は僕の腕に優しくふれた。「大丈夫?」僕は雅美をみる。彼女の顔はみえない。「なんだかやきもちやいちゃいそう。」彼女は僕の顔をみないまま続ける。「松田君は誰にでも一生懸命で、誰にでも優しくて、私にだけ優しいわけじゃないから・・。私期待しちゃったらダメなのかなぁって・・。」僕は僕の腕に触れたままの彼女の手をそっとにぎり、「雅美ちゃんにだけは特別優しいつもりだけど、僕、雅美ちゃんの事好きだから」と言った。雅美はその時はじめて顔をあげ、嬉しいと笑った。長い睫毛にふちどられた瞳は涙で滲んでいた。
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