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六月のある日。その日は朝からどしゃぶりだった。僕は憂欝な気分で、傘の下に体をおしこむようにいれ、革靴と学生服を濡らさぬように学校に向かった。残念な事に100メートル程歩いた時点で、革靴は泥水にまみれ、学ランは七割型びしょ濡れだった。髪は、額に張りついてワカメのようだ。もてないワカメ人間の出来上がり・・。まったくついてない。そう思いながら、歩いていると、不思議な光景を目の当たりにする。複数の上級生らしい男達が、一人の少年を取り囲んでいる。一瞬いじめという言葉が頭にうかんだ。僕は気になって咄嗟に声をかけてしまった。「相原!何してんの?」実際そいつとはあまり話たこともなかったのだが、声を掛けてしまったからにはどうしようもない。相原は一瞬驚いたような顔を見せたがすぐにいつものポーカーフェイスにもどり「何でもないよ、話てただけさ。先に行っててくれる?僕も後からいくから。」と笑顔で答えた。僕は気にはなったけど、本人がそういうので、仕方なく「じゃあ学校でまってるよ」と言ってその場をやりすごし、学校へと向かった。
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