出会い

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 男女の視線を釘づけにしたそいつは、全く意に介さず僕の隣の席へ座った。   「びしょ濡れだね」 声を掛けられている事に暫らく気付かなかった僕は、視線を感じ慌てて返事をした。「あ?ああ、傘は持ってきてたんだけど、あんまり役にたたなかったよ。ワカメみたいになって最悪だよ。」彼はくすりと笑って爽やかに返事をかえした。「さっきは声をかけてくれて有難う。」僕はさっきあった事を思いだし「大丈夫だったのか?上級生にしめられてたんじゃないのか?」彼は微笑をかえし「中学校からの知り合いなのさ、ほんとに話をしてただけだよ。しかし君も変わった奴だな、普通の人間なら素通りするところだぞ。」   「僕は見て見ぬふりって苦手なんだ、お人好しのお節介って皆にいわれるよ」と僕が話すと彼は「そのまんまだな」と軽く笑った。こうして僕はこのことをきっかけに相原と話すようになった。しかし僕は何ヵ月たっても相原の事をなかなか知ることができていなかった。
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