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一つ目がセイガ、二つ目がトゥエルの台詞である。
ってか、トゥエル、道連れってことは……
どんだけ悪いことしてるんでしょ?
今更驚きませんけど。
もちろん、二人とも、最初からこんなに喧嘩腰だった訳ではない。
……はずなのだが
「トゥエル。こうなったら強行突破だ。」
無言でうなずくと、トゥエルは叩いていた部屋のドアに手をおいた。
「ζ汝、我が声を聴き、進むべき路を示せξ【解錠】」
滑らかに紡ぎ出されたのは、あの隠し扉を開けた呪文である。
この呪文は、もともと閉ざされた扉を開けるためのものなのだ。
ガチャガチャと音がして、掛けられていた鍵が外される。
その途端。今まで頑なに沈黙を守っていた扉の向こうから声がした。
「わかったって、今行くから、入んな!」
もちろんハルの声だ。
「やっぱりだ。どんだけノックしても反応もしないくせに、【解錠】かけると、1分で出てくる。」
セイガの言葉に、トゥエルも頷いた。
だから、今日こそは、ノックだけで起こしてみようと、いつもより5分も早く来て叩くのに飽きていたことから来ているのだが。
それなら、普通に起こせばいいのに。客観的に見て体力の無駄だ。
「どーゆー訳なんだか。僕だってセキュリティには気をつけてるけど、ハルのは変だよね……」
と、隣で腕を組むトゥエルにセイガはあきれを含んだ目を向けた。
「お前のレベルと比べんな。」
「なんでだよ。」
トゥエルが意味深に笑って問い返したところで、目の前のドアが開いた。
ごんっ!
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