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「鍵あいてんの確認して、ドア開けてんのに、いきなり火の玉が飛んでくるセキュリティの、どこが普通だよ!」
バンッ、とドアをあけ、おまけにセイガをぶっ飛ばしたハルが言う。
確かに普通じゃない。
だが、今はそれどころでもない。
「ハ~ル~……」
ほら。
(うーん、亡霊のうめき声みたいだ。)
いや、だから……
「何すんだよ。どういうつもりだ。」
怖いっ!口調が静かだからさらに怖い!
「わっ……悪かった…。ごめん。」
反射的に謝罪するハル。
しかし、セイガは口の中で何か呟き始める。
「ζ天を駆ける、光の剣よ、我が手に宿れξ【稲妻】」
バチッ
セイガの手から放たれた雷撃はハルの額を直撃した。
「いっ…………たぁ……」
思わず額を押さえて、涙目になっているハルに、セイガは悠然と言い放った。
「解ればよろしい。」
いや、思いっきり制裁が加えられてますが……。
発端であるはずの、トゥエルはと言えば、二人のやり取りに、爆笑しているのだった。
とりあえず、遅れないように、3人は学園に向かうことにする。
因みに、ここは、魔法学校の男子寮である。
なんで寮があるのかといえば、夜しか使えない魔法の授業があったりするからだ。
当然ながら、ハルは猛反発している。
本人曰く、夜は寝るものだそうで。
昨日は、悪戯で随分夜更かしだったが、それは別格らしい。まぁ、睡眠時間を削る価値のある、面白いことだった訳だ。判断基準はハルの気まぐれだが。
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