魔法学校の地図

2/10
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
(ね、眠い。) いつものように、いつものごとく。 ハルは睡魔と戦っていた。 ………違った。睡魔に流されていた。 (じゃ、寝るか。) そう、眠いときは寝る。 戦ってるわけなかった。 でも、昨日の夜に出歩いたんだから、眠くて当然である。 キーン、コーン、カーン、コーン (zzz……) チャイムが鳴ったのに、起きなかった。これは重症かもしれない。 「ハル、起きなよ。もう授業終わったし。」 トゥエルに起こされて、ハルは、それはそれは不機嫌な顔で、目を覚ました。 まぁ、びびる程、しかめっ面だ。 起きないわけにはいかないんだからしょうがないじゃないか。 「それでさ、この前見つけた地図なんだけど。」 しかめっ面が完全に黙殺された。 トゥエルだから当然。 「なんか変な点が付いてるんだよね。」 「……点?」 ハルが聞き返す。 「そう。紅い点。」 そりゃ怪しいわ。 「へー。」 いかにも、やる気なさそうな返事である。 (面白そうじゃん。) なんだ。やる気あるのか。 と、ここで、ハルが気づいたようにいった。 「……セイガは?」 「そういえば……さっきまでいたような気がしたんだけど。」 そういえば……そして、気がした……なんか、哀れな奴だ。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!