第1章

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「砕けた言葉で話すけど、割と本気の話をするから。  形はどうあれ君は私に倒された。魔王と勇者の戦いはこうして、勇者である私が勝利を掴んだんだ。だから本来は君の首を持ち帰り、聖堂の地下にでも封印するのが通例だね」 「ふ、ふえぇ……ッ!? わ、私リアちゃんに、こ、殺されちゃうのお!?」  私の発言にまたアタフタし、身退こうとしたが足がもつれて「ひゃうっ!」と尻餅を着く魔王のテナ。  あぁ、衝撃の発言なのにイマイチ締まらないのは、単に言葉の重みが足りないからであろうか。イマイチ、殺し殺され合う間柄では無い気がする。  私から離れ、「死ぬのやだ~、首だけとかやだ~!」と、半ベソかきながら四つん這いで前進する様は、とてもじゃないが世界を貶(おとし)めている魔王には決して見えない。  あ、頭の上に乗せていた骸骨が落ちた。からんころ、といかにも安物で本物ではない軽い音が響き、それ故に緊張した空気が流れない。 「はぁ……テナ、話は最後まで聞いて欲しいんだけど」  と呼び止め、私に怯え逃げようとするテナをこちらへ向かせてから、椅子の後ろでガタガタ震えている魔王に言ってやる。
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