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『はいは~い、どちら様?』
などと、可愛らしい受け答えの声がどこらともなく(インターホンから)返ってきて、声の主が魔王の使い魔か誰かなのだと思い。
「魔王を討伐に来た勇者、リリア・エステミアルだ! 魔王に合わせろ、貴様の首を貰い受ける!」
『ふふん、物騒な娘だね。でもその挑戦受けて立つよー』
と、私の叫びにそう返され、鉄格子の門が魔王の魔力(電自動)で開いて、道が開けられた。
魔城の庭に踏み込み――――洗濯物が干されていて雰囲気ぶち壊しであったが――――魔王相手で緊張し早くなる動機を抑え、城の入り口を開ければ。
板張りがされた床(フローリング)の廊下、『土足厳禁! スリッパどうぞ』なんて書かれた張り紙に従うかどうか悩み、仕方なく靴を脱ぐがスリッパは履かず、奥へ進んで行けば。
開けた場所に赤絨毯(じゅうたん)が敷かれ、奥にあるトゲトゲしい椅子に座りふんぞり返る、いかにも魔王らしい雰囲気を出していた者がそこにいた。
ただ、灯りは魔王の魔力による機械じみた何か(電灯)に照らされ必要以上に明るく、椅子の後ろには機械仕掛けの調理場(オール電化キッチン)と白い箱(冷蔵庫)があったり、読み散らかされた本などが大量に転がっていて、ぶち壊しであったが気にはしない……気にしてたまるものか。
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