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「そだよー、ウチが魔王のテナミリ・アン・リデラリスって長い名前の魔王だよー。リアちゃん、呼びにくかったらテナって気軽に呼んでねえ」
その願いは叶わず、目の前の奴がどうやら魔王であるらしい。なんという事だ……。しかも魔王から気安くリアちゃんなんて呼ばれるし、違う、これは私が思っていた魔王像ではない……。
などと膝を屈し、目の前の現実を認めないようにしていたら。
「リアちゃん、リアちゃん。いきなり前のめりに倒れたけど大丈夫~?」
魔王は大胆にも、自身を討伐しに来たというのに、私を気遣う為椅子から立ち上がってはこちらを中腰で具合を問うて来た。
その声に魔王の方を見上げれば。
魔王の服は胸元に切れ目が入っており、その豊満でデカい胸を強調していて。完備装備の、銀と赤銅のフルアーマードレスでガチガチに固められ、それを外しても膨らみが無い平原である私に見せつけているかのように見えて。
勇者に選ばれた理由が、男に引けを取らぬ腕っ節と21にもなって嫁の貰い受けが無かった事にあり。
嫁の貰い受けが無かった理由が単に、整った綺麗な顔をしているが女性らしい魅力が何1つ、特に胸が絶望的であったが故だったので。
非常識(勇者目線からして)な魔城と、非常識(勇者目線からして)な魔王と、今までここに来た道のりの苦労のストレスが振り切れて。
何より、巨乳に対する腹立たしさが我慢の限界を越したが故に。
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