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「もぅ……何なのよリアちゃん。色んな勇者に今まで会った事はあるけれど……、あんなに激しくされた勇者は初めてだよ」
涙ぐみながら胸を抱え、まるで抱かれた子女の如く話されるのは遺憾な事。
あぁ、男に抱かれるどころか手を繋いだ経験が無い私にとって、その所作はその首を絞めてやりたいくらなものだ。
しかし、相手は魔王とはいえ目の前にいるのは少女である。落ち着け私、ここで手を下せば女子供に手を掛ける勇者あるまじき畜生。
殺意が湧きかねない衝動を抑えながら、気持ちを鎮めようとしていたのに、
「もう、リアちゃん聞いているの? お嫁に行けなくなったらどう責任取るのお!」
その胸があって嫁に行けなくなったらとか、悩む必要がどこにあるかぁーッ!!
理性が振り切れようとしていた。ひたすらまでに悪を、巨乳を殺せと脳が体に命令を送る。勇者とか良心とか、もう関係ない! 世界(貧乳)の為には、魔王(巨乳)を滅ぼすしかない!
剣が無いので瓦礫の破片を持ち、糸に吊された人形のように力無くゆらりと立ち上がる。しかし、視線に込められた殺意は微塵も見劣りは無いだろう、私の心は負の感情で埋め尽くされているのだからな。
この一撃を喰らわして地獄へ叩き落とそうとした時、勇者にとって引き返せない不祥事を起こそうとした時、魔王であるテナは私に向かって無邪気な顔をして。
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