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司音と忍は安心したが、天慈は玄衣から、千本(せんぼん)と呼ばれる長い針状の手裏剣の一種を取り出し撃った。
「!?」
二人は驚いたが、千本は狸ではなく薮を穿った。
「…?」
矢先、薮から迷彩柄の服を着込んだ男が現れると同時に倒れた。千本は男の眉間に非常に深々と刺さっていた。
司音と忍は即座に立ち上がり身構えた。忍の構えはキックボクサー等の様で、司音のそれはボクシングでいうデトロイトスタイル(別名ヒットマンスタイル)に近い。一方天慈は、足幅は肩幅よりやや広いが両腕は下げたままの自然体に近かった。
風が吹き抜け草木が騒ぐ。三人は背を向け三方を睨む。
四方を囲む薮から一斉に投石が来た。狙いは頭部だが忍と司音はしゃがんで躱す。天慈は、なんと全て掴み取った。
直後に三つの影が薮から踊り出て襲い掛かる。
司音は影の一つが繰り出す鋭い突きを躱すと、強烈な左アッパーカットを見舞い、続けて右ハイキックを食らわせ、文字通り一蹴した。
忍には二つの影が襲い掛かるが、一つはカバーに入った天慈が右手で相手の首を鷲掴みにして持ち上げ、圧(へ)し折った。もう一つは忍にカウンターで膝蹴りを顎に叩き込まれ失神した。
だが迎え撃つ瞬間に他の影が新たに四つ現れており、一息付く暇も無い。刺客の波状攻撃を三人は強引に捩伏せる。
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