刺客

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四つの影は司音に二つ、天慈と忍に一つずつ迫る。 天慈は背後からの刺客を苦もなく瞬時に倒す。後ろ蹴りの一撃で吹き飛ぶそれは、人形が宙に舞う様だった。 彼は忍のカバーには入らず、司音が相手をしていた二人の内、片方に襲い掛かる。まるで猛獣。喉を掌底で打ちつつ掴み持ち上げる。鈍い音と共に刺客の抵抗は虚しく終わった。 横目で司音と刺客を見た。 <やはり似ているな> 構えや戦い方は、当然と言える程に似ていた。変則的な技と強力な一撃の組み合わせ。だらりと下げた左腕を鞭の様に、時に槍の様に繰り出し、顎を護る様に構える右拳や蹴りを織り交ぜる。 その戦いは司音が優勢だった。天慈は、ブランクはあれど人質を取ってまでも手に入れたい程に、彼女が優秀という事を理解した。 続けて忍に目をやった。先程は上手くいったが、やはり戦闘のプロフェッショナルが相手では厳しい。 しかし天慈は助力しない。周囲を牽制しているのもあるが、彼等が現在研究中の身体の連動・一致の成果を見る為でもあった。武装した敵を、徒手にて制圧する術こそ彼等が求めた物だからだ。 忍は漸く刺客の戦い方に慣れ始めた。暗殺に長けたそれは、虚を突けずに慣れられると不利になる。短期決戦や集団での襲撃を拒まれ、刺客は僅かに焦る。 <!!> 忍は一瞬の動揺を逃さず右ストレートを食らわせた。綺麗に顎に当たり刺客の頭が揺れる。容赦無く左の横蹴りで緩んだ顎を跳ね上げ、刺客は沈黙した。
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