会合

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「しっ…司音さん!!!」 司音の背にナイフが刺さる。咄嗟に反応したのか、我が身を盾にして母は娘を護ったのだ。 鈴子の涙は止まり、眼前の事実に茫然とする。 「無駄な事を」 楔斎の呟きに、とうとう忍は我慢の限界を越えた。繰り出した拳足は、楔斎が映像で見たそれを遥かに上回っていた。 「む…」 全て捌くも、粗削りだが急所を狙い、素早く打ち込むその技術に楔斎は感心した。 「テメエは許さねえっ!!」 鬼の如き剣幕で、忍が楔斎を攻める。 「だったら何だと言うのです?この私を殺しますか?」 楔斎は全て紙一重で躱す。と、同時に改めて戦法を分析する。 〈…ふむ。脛より、靴の爪先や踵部分を利用した蹴りが主体、時折拳打が混ざる……。膝蹴りなども使ってくるか…。ならば…打撃を捌き、組技で仕留める!〉 忍は速度を増していくが、単調な攻めだった。喉元を狙った横蹴りを掴まれ、そのまま変則の背負い投げを見舞われた。 「ウッ、グアァッ!!!」 脳天から床に叩き付けられ、視界が歪み全身が痺れ、忍は痛みのあまり、のたうち回った。 「あと一撃…」 楔斎が踏みつけようとしたその時、小屋の扉が開いた。 「楔斎様!」 矢弩だった。楔斎は指示を出す。 「彼女達に神の御慈悲を」 トドメの合図に、矢弩は溢れる歓喜を押し殺しながら司音と鈴子に迫った。 「鈴子…聞いて。お母さんは確かにお母さんではないけれど、鈴子の事を本当に娘として…大事にしていたのよ。それだけは信じて…」 司音はそう言いながら、弱々しくも立ち上がった。
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