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「あっさり片付けた、にも程があるんじゃない?」
「あんなんに時間掛けてられへんわ。たまにはデカイ仕事でもドーンと…」
「今ある依頼で大物は無いね」
携帯電話を弄る、カジュアルシャツに綿パンツの黒髪の男と、黒いジャケットにジーンズの白髪の男が入って来た。二人とも、もうじき高校生になるという。
「おー、マスター!仕事片付けたで!」
意気揚々という程ではないが、依頼を片付けた為か報酬が入るからか機嫌は良さそうだった。
「お帰り。そうだお前達、彼女の依頼を受ける気は無いか?急な依頼なんだがな」
店主はちょうど良いと言わんばかりだった。この二人、正確には白髪の男は、数ヶ月前からの新参ながら働き者であった。実力も保証(おりがみ)付きである。黒髪の男は彼のマネージャーの様なものだ。
二人の男は顔を見合わせる。だが女性の藁にも縋る様な顔を見て、話を聞く事にした。
「はじめまして。平坂司音(ひらさか しおん)と申します」
テーブル席に移ると名刺を差し出され、二人は受け取った。
「はじめまして。自分は忍(しのぶ)、こっちの白髪頭は天慈(てんじ)です」
二人は会釈した。
「出版社にお勤めなんですね」
忍は取り留めのない会話を交わそうとしたが、急に違わず、女性の雰囲気がよそよそしいので本題に入った。
「それで、御依頼はどのような物でしょうか」
「誘拐された私の娘の奪回です」
一枚の写真を出して来た。最近撮影した物で、彼女と6歳になろうかという女の子が写っていた。
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