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栗色の長い髪をした可愛いらしい女の子だった。
「鈴子(すずこ)と言います」
彼女はそう言った。
「警察に頼らないし、此処に依頼に来る。こちらのシステムにお詳しそうですが…何故ですか?」
天慈が尋ねる。
「元が付きますが、私は合法的殺人者(フリーマーダラー)でしたから」
彼女は、あっさりと言い放った。二人の若者は少々驚くも平静を取り戻す。
「元とはいえ、貴女が依頼するという事は…相手は余程厄介なんですね」
忍の質問に彼女は頷き、保育園の保母に預けられていた手紙を見せた。
- 平坂司音殿。貴女が私の元を離れ、はや六年。漸く貴女を捜し当てる事が出来ました。静かな所でお会いして色々と話をしたいと思います。日時や場所は二枚目に記載します。心からお待ち致します。平坂楔斎 -
「訓みは、ひらさか……せっさい、ですかね」
天慈の質問を彼女は肯定した。
「彼は育ての親…とでも言いましょうかね」
彼女は複雑な顔をした。
「攫ってまで会いたい…。この人物は一体」
忍の疑問に彼女は答えた。
「お新香、砂糖に白桃はお好き?」
突飛もない発言だが、彼等には意味は伝わる。
合法的殺人者の間では、お新香は宗教団体、砂糖は左翼、白桃は右翼を意味する。
「自分も天慈も、あまり…」
彼等は、それらは理解をする事はあれど、敬遠傾向だった。
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