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「それらと似た組織という事です」
「……」
二人は少し考えた。
「極端なケースと解釈しても?」
天慈が尋ねると、彼女は肯定した。また考える。
「何か余りに…狂信的な部分がある…とか?」
忍は考えられる共通点から答えを出す。
「ええ。相手は…暗殺教団、といった所です。世界を自分達の教えで塗り潰す意図を持った、狂信者の集まり。やっとの思いで足を洗えたのに…」
彼女は相手について軽く述べた。
「忍、今回は俺一人でやる。相手が厄介過ぎや」
「引き受けるのか?」
天慈の結論に忍は問う。
「命の保証がいつも以上にあらへんけど、頼って来られている以上は引き受ける。司音さん、御依頼を引き受けますよ」
天慈は問いに答えつつ、依頼を承諾した。彼女の顔が少し明るくなった。しかし…
「で、今回の報酬なんですけど…」
「実は…夫を無くした後、母一人子一人で、あまり出せないのですが…」
天慈が報酬の話をすると暗くなる。母子家庭である事も一因だが、合法的殺人者の頃の稼ぎは、ほとんど組織に取り上げられていた為、亡き夫の遺産や貯蓄等を出しても今回の様なリスクの高過ぎる仕事に見合う報酬が出せないという。
だが天慈は一笑に付すと店主に呼び掛けた。すると彼は紙を数枚持って来た。
「司音さん。貴女がお辞めになった後、暗殺教団を相手にする依頼は報酬が全額補助の対象なんです。平坂楔斎もリストに登録されていましたから、この手紙は証拠となる」
店主の発言を聞き、また顔が明るくなった。
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