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「ねぇ、めーか。」
「…はい。」
放課後。放送室、の防音室。
先輩が私を呼ぶ。
憎たらしい位綺麗な顔立ちを魅惑的に歪めて。
ほんと、なんでこの人放送部なんだろう。似合わない。こんな地味な部活。
でも他に部活してる姿も浮かばない。
部活というかこの世に似合わない位、綺麗だから…かな。
「ねぇ、めーか。聞いてる?」
「あ、はい。…すいません。」
「別にいいけど。」
はぁ、とわざとらしく吐き出された溜め息。
溜め息は、綺麗でどこか儚い先輩に良く似合う。
色っぽく誘惑してくるような。でも消えていなくなりそうな。
「ねぇ、めーか。」
「はい。」
今日はやたら名前を呼ばれる…。
そしてやっぱり、先輩が呼ぶ私の名前はどこか私の名前じゃないみたいに感じる。
「俺、めーか好きなんだけど。知ってた?」
「………はぁ。」
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