第1章~気づいたこと~

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――さて、どうしましょうか。人数ぴったし分けてしまいましたし…… かと言って、カナダさんに単独で動いてもらうわけにはいきませんし……。 日本が考え込んでいると、不意に声が上がる。 「俺たちのグループで良いんじゃないかい?」 「アメリカさん」 「アメリカ……」 「カナダは俺たちのグループ! 別に良いだろ? イギリス」「って俺かよ!!」 いきなり話を振るアメリカに、イギリスのツッコミが入る。 「だって君が一番反対しそうじゃないか」 「しねぇよ! こんな状況でそんなこと言ってられるか。  それにカナダだって……」 「カナダだって?」 「僕だって、何?」 口ごもるイギリスに、アメリカとカナダが訊き返す。 「―――だしよ」 「え?」 「聞こえなかったんだぞ、イギリス!」 「良いんだよ聞こえなくて!!」迫る二人にぶんぶんと手を振るイギリス。 「……ふふ……」 「な、何だよ日本」 「いいえ? 何でもありませんよ。ちょっと聞こえてしまっただけですから」 「んなっ……きっ聞こえてたのかよ日本っ!!」 イギリスが顔を真っ赤にして怒る。日本はくすくすと笑っている。 「イギリスは何て言ったんだい、日本?」 「教えてほしいんだぞ!」 「教えるなよ日本っ!!」 「ふふっ。では交換条件で、どうですか?」 「交換条件?」 「内容は帰ったら教えますよ」 ――もし帰ることが出来たら。 皆でまたわいわいしましょう。 老体には少し辛いですが…… 今は…… その日々が何よりも 尊いから。
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