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帰り道に事故に合った。
―――熱い。痛い。
体が燃えるように熱く、苦しい。針で刺されているみたいな痛みが身体を蝕む。
短く繰り返される呼吸。
朦朧(モウロウ)とする視界。
回る世界。流れ出る赤い液体。浮くような感覚。
鳴り響くサイレンと騒ついている周り。
ふと、色んな記憶が流れてきた。
これが走馬灯か、なんて考えてるうちに、今日の桜依との会話が思い出される。
無邪気な笑顔。約束。花見。
それらが、強風が顔面に当たるような感覚と共に押し寄せる。
どんどん弱くなる呼吸。
暗くなる視界。
目蓋を閉じてしまうのはいけないような気がして、増していく重みに耐えようと努力してみる。
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