死神のお仕事

第一話 “終わり”

そんな中、脳内にパッと両親の顔が思い浮かんできた。

うちの家は特に恵まれているわけでも無いが、それなりに幸せな家庭だ、と私は思う。

父母ともに働きに出ている。
が、寂しい思いをしたことは、あまり無い。私がそんな思いをしないように気を配ってくれている。

父はカメラマンをしていて、たまに一週間くらい家を空けた。
けど、出来る限り早く仕事を終わらせて帰ってこようと無茶をしたりする。
夏休みとかに、県外に行くことになったりすると私たちも連れていってくれたりもした。

母はケーキ屋で働いている。
何があっても笑顔を崩さないので、かなり接客に向いているらしい。
私が学校から家に帰宅する前には仕事は終わらせてもらっているとかで、大抵は母が出迎えてくれる。
店が混んでたりすると、私が出迎えたりしている。仕事帰りの母を見るのはなんとなく貴重で、この瞬間がちょっと楽しみでもある。

もちろん、普通の家みたいに両親が大喧嘩したりもするし(理由は他愛無いが)、私だって反発したりでしばらく口を利かなくなったりもした。

でも、すぐに仲直りするのだから『仲の良い家族』だ。