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―――目蓋を閉じたらどうなるのだろう。
楽になるのだろうか。
でも……そうしたら二度とお父さんとお母さんに会えなくなるかもしれない。
嫌だ。
それに、桜依との約束だってある。
あと二週間。
すごく楽しみにしてたのに。
何で。何でこんなことに。
どうしてこんなに血が出て、苦しいんだ。
何で…な、んで……
遠退いていく意識の中私はずっと問い掛ける。
全ての記憶が溶かされていくように、頭が真っ白になる。
身体がふわふわしている。
私は重みを増し続けていた目蓋を静かに下ろした。
頭の中とは違い、真っ黒になる視界。
目の奥が熱くなるのを感じながら、私は意識を手放した。
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