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「千尋は今日もトレーニング?」
弥生が今日も俺の机の前までわざわざやって来て、分かりきった事を甲高い声で聞いてくる。
「ああ。」
毎日おんなじ事聞くなよ。
面倒臭いので目も合わさずに頷いて、鞄を持って歩き出すと慌てて付いてこようとする。
「矢野、部室行くか?」
井田が教室の入り口から俺に声を掛けてきたのを良いことに付いてこようとした弥生を振り切って、じゃあなと手を上げて追い払った。
「相変わらず、愛想ねえな。」
サッカー部一の女好き・井田はわざわざ弥生に手を振ってみせて、俺に続いて廊下に出た。
「足の調子はどうだよ?」
「あんま良くない。」
井田はそうか、とだけ言うとその話題にはそれ以上触れずにそう言えばさぁと俺を見た。
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