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…その日は朝から落ち着かなかった。
カラオケ当日まで、誘った弥生でさえ村田朔子と接触する事もなく、ましてや俺は目さえも合わなかった。
本当にアイツ等は今日の放課後にカラオケ屋に現れるんだろうか?少し不安になる。
俺の苛立ちの理由は青木だけが知っていて、弥生や井田に分からない程度に俺をネタにして笑った。
俺の不安をよそに、放課後のカラオケ屋には村田朔子と同中の女二人が時間通り現れた。
鈴木蓉子は人見知りだと評判だったから、もう一人の女の腕を掴んで半分隠れていても別に何も感じなかった。
そして村田朔子はというと、まるで珍しいものを見るかのように俺達を一人一人見つめていた。
そして、俺の存在に気付いた瞬間、驚いたように大きな目を更に見開いてサッと目を逸らした。
俺が来たのが予想外だったらしい。
俺を見て拒否反応を起こす女自体珍しいけれど、それが村田朔子だったとなるとさすがの俺も幾分か凹んだ。
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