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「だったら観に行かね?」
だけど、まるで感情のない感じになってしまって、しまったと村田朔子を見るとポカンとした顔で俺を見ていた。
「え?」
「え…?」
もう一度不思議そうに問い返す。
居たたまれなくなった俺が答えた言葉は。
「鈴木さんも誘ってさ。」
「あ…うん。」
そう言った途端、強張っていた村田朔子の顔がホッと安堵の表情を浮かべた。
マジで凹みそうだ。
そんなに人見知りにも見えない彼女だが、俺の事は苦手意識があるらしい。
もしかすると、この間の事が原因なのかもしれない。
「じゃ、来週日曜は?」
俺が冷静を装って言った言葉も半分上の空で、うんうんと頷いた村田朔子は早くこの話題を切り上げたいように見えた。
そして当日、映画館に村田朔子は現れなかった。
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