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「やっぱりね。」
舞田が俺の顔を見て、納得したように頷いた。
「…何だよ。」
何で村田朔子じゃなくてお前なんだと問い詰めたい衝動を必死で抑えている俺の神経を逆撫でするような目付きで舞田が微かに笑った。
「朔ちゃんは矢野くんが蓉子ちゃんに気があるんだって思ったみたい。」
「何だそれ。」
「誤解を受けるような事を言ったんじゃない?」
「別に何も言ってねえけど。」
そう言ってから、ある事に気が付いて舞田の様子を窺った。
俺が鈴木蓉子に気があると誤解したって言葉が示す真意は…
「朔ちゃんは鈍感だから。」
舞田が続けた。
「塚沢君と矢野君のどちらか知らないけど、誘う時はハッキリと指名してね。」
知らない、なんて言うけれど舞田の視線は俺を見透かすかの様だった。
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