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これも無意識なんだろうな。
俺は彼女の頬に手を伸ばしたい欲望と戦いながら、あんた結構いい加減だな、とわざと冷たく突き放す。
すると、バッと顔を上げた村田朔子が何とも形容しがたい表情で俺を見つめた。
少し不貞腐れているような、でも泣き出しそうな顔。
こんな顔もするのか。
ああ、もういい加減にしてくれ。
「リベンジ行くからな。」
俺の声に途端、表情を変えた村田朔子が反射的に言う。
「え、でも映画観たんでしょ?」
「あれは観てない。」
あれ、とはこの間話した続編映画の事だ。
村田朔子は素直に分かったと頷いた。
「嘘つきは大嫌いだ。」
今度こそちゃんと来てくれよ。
あんまり俺をハラハラさせないで欲しい。
慣れない事をするのはストレスだ。
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