初めての苛立ち

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「あ、SFアクションの?」 エンドロールが始まり、気の早いやつらは席を立っている。 小声で返答した村田朔子に言う。 決定事項だと言う様に。 「今度は、あれな。」 「あ、うん。」 アッサリと頷いた村田朔子は一体何を考えているんだろう。 嫌なら嫌と言えば良いのに、好きな映画だからオッケーしたんだろうか。 映画館の外に出て村田朔子に尋ねる。 「この後、お茶でもする?」 「え、何で?」 心底吃驚した顔で聞き返すのが腹が立つ。 映画見れれば満足か? 一応、男と映画観に来たらお茶くらいするだろ? 「別に無理矢理じゃねえし。」 ちょっとフテた口調になったのは俺のせいじゃねぇ。 「ねぇ、それ癖?」 なのに俺の言葉を全く無視した村田朔子が言った。 「何が?」 「眉をしかめるの。」 そして、またしかめてる、と言って初めて俺の前で笑った。
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