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俺の前でもちゃんと笑えるんじゃん。
教室で女友達とじゃれてる時と同じ人懐こい笑顔だった。
小さくえくぼが出来ていて、飾ってない綺麗な笑い顔。
「やっと笑ったな。あんただって恐い顔してんじゃん、俺と話す時。」
ホッとしたからか、俺が軽口を叩くと、そうかな?と首を傾ける。
「で、どうする?」
もう一度聞き直すと、またふわりと笑った。
「矢野君ってせっかちだね。」
「あんたはマイペース過ぎるよ。」
言葉の応戦に、村田朔子の頬が緩んでいる。
「ニヤニヤしてんじゃねーよ。」
「矢野君こそ!」
ちょっと頬を膨らましたかと思うと、直ぐに笑顔に戻る。
「矢野君が笑ってくれるなら、お茶行くよ。」
そんな理由かよ。
良く分からない理由だけど、気が変わらない内に行こう。
今度こそ俺達は隣に並んで歩き出した。
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