希望と現実

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映画を観に行った日。 あの日、カフェでお茶をして初めてまともに話をした村田朔子は思っていたよりもマイペースな奴だった。 俺の周りにいる女や寄ってくる女は、自分の事を訳もなく喋るか事情聴取のように詮索してくる事が多い。 知らない女からはアイドルみたいな扱いを受けるし、本当にウザい。 「もうすぐ実力テストだね。」 でも、目の前でアイスティーを美味しそうに飲んでいる村田朔子は、気が抜けそうな程に普通だ。 「そう言えば、同じ塾なんだね。」 最近知ったんだけど、と照れ臭そうに言う。 そんなに俺の事、興味ねぇのかよ。 心の中で毒づいて、ああと相槌を打った俺をチラッと見る視線を感じる。 「宮崎早紀ちゃんって知ってる?」 「ああ。」 いつも塾で一緒にいるじゃん、と言ってやろうかと思ったが相槌を打って黙る。
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