希望と現実

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「早紀ちゃんがね、教えてくれたの。同じ塾だって。」 宮崎早紀、ね。 嬉しそうに宮崎の話をする村田朔子の顔をじっと見つめる。 相変わらず肌は透き通るほど白くて、殆ど化粧をしていない肌に触りたい衝動に駆られる。 髪もほんのり色が抜けているけれど、艶々していて清潔感に溢れている。 話す口元に視線をやると、口紅をつけていないのにほんのり赤い唇に吸い寄せられる。 「毒だな。」 ポツリと漏らした言葉に、村田朔子が首を傾ける。 「いや、こっちの話。」 俺の考えている事が分かったらコイツはどんな顔をするんだろう? 驚いて逃げ出すんだろうな。 現役高校男子を舐めんなよ。 そんな惚けた顔をして、可愛く首を傾げて俺を見んな。 「矢野君?」 村田朔子が困った顔で俺を見る。
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