希望と現実

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……… 「千尋?」 弥生の声で我に返る。 「どうしたの、ぼんやりして。実力テスト駄目だったの?」 「弥生と一緒にすんなよ。」 俺の言葉に弥生がひど~いと騒ぎ立てる。 「そうだそうだ、矢野は顔だけかと思いきや頭も良いんだぜ。」 隣の井田が弥生に話し掛けて、弥生も応戦し出す。 「顔だけって…」 「性格はどうかと思うけどな。」 澄ました顔で口を挟んだ青木。 「お前だけには言われたくねぇ。」 「まぁまぁ、それは置いておいてさ。今日は飯くらい食って帰ろうぜ。」 「おお、カラオケでも行くか!」 「じゃあ、私も私も!」 俺の予定などそっちのけで盛り上がる三人から視線を外す。 村田朔子は相変わらず学校では他人だ。
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