希望と現実

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ふざけて歩く青木に目を遣る。 もうすぐ夏休みだから、バーベキューでもやろうと言っていたのを思い出す。 後で切り出そうと考えながら電車を降りて総合駅から出て、駅前のファーストフード店に向かっている時だった。 何となく振り向いたカフェのガラス越しに村田朔子の驚いた顔が見えた。 一人でテーブルに肘をつき、アイスティーを目の前に置いている。 誰かと待ち合わせか? 途端に気になりだして、頭より先に体が動いていた。 「ちょっとどこに行くの?」 弥生の驚いた声に、ちょっとと手を上げて走り出す。 誰かと会うなら仕方ない。 でも、俺の事を忘れんなよ。 「一人か?寂しい奴だな。」 突然現れた俺にぽかんと見上げて、咄嗟に村田朔子が言った言葉。 「うん…こんにちは。」 間の抜けた挨拶に笑いが込み上げる。
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