希望と現実

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「相変わらず、変。」 「何よ、そんな事を言いに来たの!?」 ちょっと頬を膨らませた村田朔子は、少しは俺に慣れたんだろうか。 「それ頂戴。」 サッと取り上げたアイスティーを飲み干した俺を目を丸くして見つめている。 「今度、奢るわ。」 それでも何も答えない村田朔子に、畳み掛ける。 「映画、今週末から始まるだろ?日曜は?」 俺に気圧されたようにうんと頷く。 「…日曜日ね、分かった。」 「この間と同じ時間と場所な。」 「うん、同じ時間ね。」 たどたどしく答えた村田朔子に、あんまり寄り道せずに帰れよと言うと、矢野君もと笑った。 お前もカラオケに来いよ、と言いたいのを我慢してその場を後にする。 とりあえず待ち合わせではなかった。 それを確認出来ただけでもよしとするか。
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