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俺が食事をしている間、元々口数の多くない俺と村田朔子はぼんやり外を眺めたり、時々、思い出した様に会話をするくらいで、普通なら気まずいのかも知れないが沈黙が居心地良いのは予想外だった。
村田朔子も前ほどには緊張感もなくて、まったりとした時間がゆっくりと流れる。
ぼんやりと窓の外を眺めている横顔は、触れてはいけないもののように繊細で可憐だけれど、それを乱したいと思うのも本心。
俺の視線の意味も分からずに、ただ強い視線に意識を引き戻された村田朔子が何の気なしに腕時計を見た。
「あ~、始まっちゃった!」
「そうだな。」
「どうする?別の観るか、時間をずらすか?」
珍しく早口で捲し立てるのが可愛いなと思ってしまうのは末期なのか。
「また今度にするか?」
ビックリしたみたいに俺を見て、途端に下を向いた村田朔子の意味が分からない。
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