希望と現実

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「雨降りだな。ボーリングでもする?」 「勝負だね!」 何がスイッチだったのか、よく分からない気合いの入れように、ギュッと抱き締めてしまいたい衝動に駆られる。 「負けたら罰ゲームな。」 「ボーリング得意なの?」 「まあね。」 「スコアは?」 会計を終え小雨の降る道を歩き出した村田朔子は俺の側で必死に話し掛けてくる。 反射的に村田朔子の傘の柄をサッと奪って、肩に近付き覗き込む。 「聞こえねえ。」 ビクッと肩を震わせて俺を上目がちで見る。 「で、何?」 更に意地悪く接近する。 「あ、スコア…」 困って眉を下げる村田朔子の唇が誘っているように見える。 「170位かな。何?ハンデ欲しい?負けたら、何でも1つ言うこと聞けよ。」
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