希望と現実

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「ドキドキウキウキワクワクしてきた?」 言い返しながら真っ直ぐな強い視線を俺に向ける。 「してる。」 だから、キスさせろ。 コイツが少しでも伏し目がちになったらマジで手を出していた。 でも、時が止まってしまったみたいにジッと俺を見つめる目は澄んでいて、まるで赤ん坊に見られているみたいだった。 「で、誕生日プレゼントは何を要求されんの?」 やっとクールダウンした俺がからかうように言うと、村田朔子も少し相好を崩して俺に言った。 「思い出、じゃないの?」 「ダイヤの指輪って言われても無理だけどな。」 「じゃあ、そのブレスレット。」 何を思ったか、俺の腕のブレスレットを指差しそろりと探るような上目遣いで俺を見た。 …どんな思わせ振りなんだ。
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