誕生日

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ふて腐れ気味の俺に、事情を知らない井田がガッツリ肩を掴んで引っ張る。 「女の子達がお前を見に来てんだからお愛想振り撒けよ。」 「うぜぇ…」 応援して欲しい奴が戻って行ったのに、愛想なんか振り撒けるかよ。 「優勝して、女の子達呼んで打ち上げしようぜ~!」 井田の言葉に青木が乗っかって他の奴等とはしゃぎ出す。 そこもどうでも良い。 あぁ早く終わらねぇかな。 苛々しながらサッカーボールを蹴飛ばした。 結局、決勝戦までグランドに縛り付けられた俺達が優勝をして教室に凱旋したのはHRだった。 皆に拍手で迎え入れられて、優勝トロフィーを掲げる井田を尻目に席につく。 村田朔子を見ると、浮かない顔でぼんやりしていた。
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