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俺が現場に着いた時には二人の乙女は賊に囲まれていた。
「テメェら!!オレを誰だと思ってやがる!!」
「知らん。ただの賊であろう?」
赤い衣を身に纏い、十文字槍を持った少女が吐き捨てる。
「いいか?オレはなぁ、大[山賊]黒牛丸様だぁぁ!!」
(こいつ……100%小物だろ……。)
俺は心の中で賊を蔑んだ。
「そこの下郎。早いところ奪った商品を置いて失せろ。」
馬上から麗しい乙女が賊を罵倒する。
「チッ!!お前ら目障りな小娘共を片付けろ!!」
賊の頭の指示で三人の手下と思わしき男達が半壊の商店から姿を現した。
のだが……。
「邪魔だ!!そこで寝ていろ!!!」
三人の賊は一瞬で地面に激突することになる。
幸村の槍の柄が刹那の内に三人の賊の急所を突いたのだ。
「クソォ!分が悪ぃな……。」
そのような小悪党丸出しの台詞を放つと賊の頭は隠してあったと思われる馬に騎乗し一目散に逃げ出した。
「自分の部下を置いて逃げるか……。下衆が!!!追うぞ!!幸村!!」
「はい!!お館様!!」
「待ってください!」
俺は咄嗟に二人を引き止めた。
「今から追っても間に合わない!幸村は右から、信玄さんは左から回り込むんだ!!」
「成る程、そうゆうことか。聞いたか幸村ァ!!右だ!!」
「承知しました!!お館様!!」
俺はこの辺の地形はもう既に熟知している。
右と左にショートカットできる道があることもな。
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