はじめの一歩

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雪音side 「痛っ」  今朝、クラスメイトの女子数名に自転車で撥ねられた際に、膝と肘を擦りむいてしまっていた。  保健室に行こうかとも思ったけれど、理由を問われると困るので、自分で手当することにした。  部屋のベッドのうえで、今日も悶々とする。  毎日繰り返される嫌がらせ。向けられる冷たい視線。  逃げ出してしまいたいが、学校に行かないで親に迷惑をかけたくはない。  苦しみ、孤独、葛藤の日々の中で生きている内に、私の心は擦り切れ始めていた。  それでも恐怖や憎悪といった感情は、今もこの胸に黒い炎を燈しつづけている。  だがそれも限界に近くなっていることは、私自身が一番理解している。  あとほんの少し、ほんの少しだけでも私の心のバランスが失われれば、私の精神は壊れてしまうだろう。  逃げることも出来ず。  抗うことも出来ない。  いつからか始まってしまっていた負の連鎖は、もはや私自身では止められない。 「誰か・・・助けてよ」  呟いてみても、変わらない現実。  幾度となく流した涙は、誰にも気付かれることなく、ただこぼれ落ちるだけ。  なぜ自分がこんな目にあわなければならないんだろう?  分からない、分からない分からないワカラナイワカラナイワカラナイワカラ・・・  ダメだ。もう眠ってしまおう。  夢の中なら、こんなに苦しみから解放されるのだから・・・
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