はじめの一歩

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「痛ぇ・・・」 「じじくせぇぞ一人」  まあ、端から見たらそうだろうな。わかってるよ。 「言っただろ、ベッドから落ちたんだよ」 「自分からだろ?」 「まあ、そうだけど・・・」 「自業自得だな」  佐部と二人で、学校への道のりを歩く。  朝の陽射しが、柔らかく並木の隙間から差し込む。   これくらいならまだいいが、きつい陽射しは俺にとっては毒なので、春夏秋冬問わず、長袖とパーカーは常に身につけている。  夏場は暑くて仕方ないが、秋頃ともなれば、むしろ快適でさえある。 そんなことはどうだっていいな。 「なあ一人」 「あ?」 「アレ・・・なんだ?」 ホントになんだアレ、ノート・・・か? ・見に行く(下へ) ・スルー ・見に行く 「ノートみたいだな、おい佐部、取って来い」 「ダチ遣いが荒いぞ、ったく・・・・・・ホレ」 ノートを受け取り、表紙を眺める。 何の特徴も無いノートだな・・・ 「一人、裏に名前が書いてあるぜ」 ・・・普通、表に書かないか? 「2年C組・・・織部 雪音・・・?」 「おりべ ゆきね、だな」 「知ってんのか?」 「まあな」  佐部の話によると、ノートの通り2年C組に在籍し、帰宅部。いつも本を読んでいるために、目立たないが、かなりの美人だと言う。 「しかもナイスバディと来たもんだ・・・ウヘ・・・」 「今のが無ければ、説明としては100点だったな」 今の佐部は、完全に残念なことになっている。 「クールビューティー・・・ナイスバディ・・・グフフ・・・」 「きめぇ・・・」 俺は佐部を放置して、独り学校に向かった。
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