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・・・
教室に戻る道の途中、佐部と屋上に寄った。
日陰になっている場所に腰かける。
「どうするつもりだ一人。気付いたんだろ?」
何が、とは聞かなかった。いや、聞けなかった。
佐部の顔は、本気だ。
「・・・逆に聞くが、佐部はどうするつもりだ、所詮他人の問題だ、俺達が首を突っ込んだところで、何も変わらないかも知れないんだぞ」
それどころか、事態が悪化する可能性もある。
「お前は変わった」
佐部の声は、冷たい。
憤りを必死に抑えているのかも知れない。
佐部の怒りの根源。
織部雪音、彼女はほぼ確実に、
いじめられている。
あの教室の空気。
織部のあの眼差し。
俺がそうだったから。俺は気付いた。
そして、俺を救った佐部が、気付かないわけがない。
「確かに、何も変わらないかもしれないし、こんな正義感は偽善かも知れない。・・・それでも」
「一人(ひとり)にしても、独りにはさせたく無い、か」
俺の時もおなじことを言われた。俺の名前とかけたんだろうな。多分。
俺には絶対に出来ない考えだな。
「お前がそう言うなら、まあいいが。あのクラスの空気は異常だ、根は深いぞ」
「分かってる、とにかく今は織部さんの事を気にかけておいてくれ」
佐部の指示に頷き、俺達は教室に戻った。
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