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「いない!どこにもいない!
I・N・A・I(アイ・エヌ・エー・アイ)ーー!!」
エコロ捜索を始めてからはや30分。私たちは彼を見つけるどころか、手がかり1つさえつかめていない状況にあった。
「…………はー」
私は大きなため息をついた。やっぱり、もう逃げられてしまったのかな……あああ、せっかくぷよをふり止ませる方法がわかると思ったのに。
トン、トン
「わっ誰!?」
とつぜん、誰かに肩をたたかれた。
「ボクだよ、ボク」
ふり向くと、そこにいたのはクラスの友達、遠藤あずきちゃんだった。
「びっくりした、あずきちゃんがこんな所にいる……ああそうか、ここって美術室に近いんだっけ」
あずきちゃんは美術部だから、美術室の近くでばったり出くわしても不自然ではない、ということだ。
「こんなところで何してたの、りんごちゃん?ため息なんてついて」
「あ!えーっと……そう、あずきちゃんは『まっ黒でふよふよしてハテナマークのついた生きもの』を見なかった?」
私はエコロについてくわしくは語らず、それだけを質問した。
「…………ううん、見てない」
うーん。やっぱりダメか。
「そっか、ゴメン。変なこと聞いて」
「ねぇ、それってもしかして、ヘンテコ部の活動?」
「ヘ、ヘンテコって……まあ、一応そうだけど」
「ふーん、ヘンテコ部ってほんとヘンテコだね!」
「へ、ヘンテコじゃなくて物理部ってよんでよーー!」
ん、まてよ。よくよく考えてみれば、今の物理部の活動は『ぷよ勝負』なんてものがもっぱら。これをヘンテコとよばずして、一体何をヘンテコとよぶのだろうか……。
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