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「だってヘンテコなんだもん。でもおもしろそうな部活だよね!」
「まぁ、おもしろさにはこと欠かない部活だとはいえるかもね……」
「今まで『物理』って名前だけでエンリョしてたけど、そんなにおもしろいなら入ってみたいかも?」
えっ。部員が増えるのは普段なら歓迎すべきだけれども、現在のメイン活動が特殊すぎるので非常にオススメしがたい。(おそらく、)この町でぷよ勝負ができるのは私たち3人だけだと思われるし。
「でも、あずきちゃんは美術部が忙しいのでは?確かコンクールがあるって言ってたよね」
「あっそっか……、そうそうさっきまでね、屋上で風景を描いてたんだ。そのコンクールに出そうと思ってね」
「なるほど。たしかにあそこの眺めはすごくいいよね」
「でしょー?あそこから見える景色ってさ、空と町並みが一体になってパーッと広がって、果てしない可能性とか、未来につながる希望とか、そんなものを感じさせてくれるんだよね。あ、でも……りんごちゃんが絵のモデルになってくれたら、もっといいのが描けるのになー」
「も、モデル!?」
「テーマは……屋上にたたずみ、青い空と生まれ育った町に決意を誓う中学生!そんな感じかな~」
「い……いや……エンリョしとくよ」
もしも私が描かれた絵が賞を取ったりして、どこかに展示されようものなら……
そんなの恥ずかしすぎるっ!
「むーっ。りんごちゃんてなんていうか……物語の主人公みたいなオーラがあるから映えるのに……まいっか、ボクはそろそろ屋上にもどるね」
「う、うん、がんばって」
あずきちゃんは2、3歩ふみだして、そこで立ち止まってふり返った。
「でも、いつかは絵のモデル、絶対にやってもらうんだからね!」
「あ、ま、まあ一応考えとくよ……」
そしてあずきちゃんは屋上に戻っていった。絵のモデル……コンクール作品でないなら、一回くらいはいいかな?いやでもやっぱり恥ずかしい……
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