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「そうそう、あんた『彼』とは上手くつきあってんの?」
「え?彼?」
『彼』と上手くつきあう……?そんな友好関係を築いている途中の人物なんていたっけか。私は頭にハテナマークを浮かべた。
「佐々木だよ、さ・さ・き!」
「ああ、佐々木まぐろくんのこと。別に、いつも通りの仲だよ?」
「またまた~。うち、あんたが佐々木と毎日いっしょに帰ってるの、ちゃんと見てんだからね!」
「それは、ご近所だし同じ部活だし、そうなるのは必然では?」
すると、さやかはいぶかしげにこっちを見てきた。今の発言、何か問題でもあったのかな。
「んんー?その反応のうすさ……まさか、つきあってないの!?」
「つきあう……とは?」
「ま、まだわかんないの!?恋愛よ、レ・ン・ア・イ!うそでしょ、あんだけベタベタ仲良くしといて、まさかつきあってないって言うの!」
「え、そんなにベタベタしてるように見えるかな……?そりゃあ佐々木まぐろくんとは幼なじみだし、ほかの友達よりは仲がいいかもしれないけど……」
この時、私は言い訳のために『幼なじみ』という単語を持ちだしたハズが、かえってさやかを燃えあがらせる結果となってしまった。
「そ・こ・よ!!あんたと佐々木は幼なじみなのよ!?ちょっとあんた、幼なじみ=恋愛フラグは今やジョーシキだってこと、知らないの!?」※さやか調べ
「へ……へぇ、そうなんだー」
ああ……、さやかって恋愛のことになると、すぐ熱くなる人なんだよね。さやかには意中の人がいるから、他人のそういう話にも首をつっこみたがるっていうのはわかるんだけど。
「しかもあんたの場合はそれだけじゃないじゃん!部活いっしょで超仲よしで、オマケにあんたは学年トップの成績、佐々木は佐々木でこれっぽっちも勉強してるとこなんて見ないくせにいっつも上位!こんなお似合いカップルなんてそうそういないわけ!恋愛フラグ立ちまくりなわけ!りんご、あんたいったい佐々木のことをどう思ってんの!?」
「えーと……どうって言われても。おもしろい人だよね」
「なんか、カッコいいとかつきあいたいとか思わないの!?」
「うーん、考えたことないかな」
「あーあー、そんなんじゃダメよ、まったくじれったいったらないわ!ちょっとあんた、1回よ~く考えてみなさいよ、佐々木のことを!!」
「わ……わかったよ」
さやかの迫力に圧(お)されて、私は思わずうなずいてしまったのだった。
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