好転。

6/23
前へ
/318ページ
次へ
「……あ、あの……」 町を行き交う通行人に話しかけても、こんな弱々しい声じゃ届くはずもなかった。 いつもこんなだから、いい加減に引っ込み思案を直したい。 何度 思った事か……。 見知らぬ町で心細い、わたしは涙ぐみながらひたすら歩いた。 その時だった。 突然、複数の紙が春の突風に乗ってわたしに向かって飛んできた。 「あう…ふ…えっ?」 わたしは立ち止まり、とりあえず紙を拾い上げた。 A4サイズの紙に、文書が印刷された……。 どこから飛んできたんだろう。 わたしが顔をあげると、目の前からスーツ姿のメガネを掛けた男が駆けてきた。
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1843人が本棚に入れています
本棚に追加