1843人が本棚に入れています
本棚に追加
「な、泣いてないです…。もう大人ですから!…泣きません!」
迷子になったくらいで泣いちゃうなんて、きっと笑われる。
男は黙り込んだ。
「……そう」
「あっ、あの…、常磐坂グループの本社ビルって…このあたりにありませんか?」
この際だから、ついでに訊いてみた。
男は即答する。
「そこなら車で30分先にある」
「…さんっ?!」
「私もこれからそこへ行くんだ。ついでに付いてくるか?」
表情変えず、彼はわたしに背を向けて歩いた。
普段 接点のないようなタイプ、しかも男性。
苦手だけど、今は彼に頼るしかない。
わたしは考える間もなく、ヒヨコのように彼の後ろを着いていった。
最初のコメントを投稿しよう!