好転。

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「な、泣いてないです…。もう大人ですから!…泣きません!」 迷子になったくらいで泣いちゃうなんて、きっと笑われる。 男は黙り込んだ。 「……そう」 「あっ、あの…、常磐坂グループの本社ビルって…このあたりにありませんか?」 この際だから、ついでに訊いてみた。 男は即答する。 「そこなら車で30分先にある」 「…さんっ?!」 「私もこれからそこへ行くんだ。ついでに付いてくるか?」 表情変えず、彼はわたしに背を向けて歩いた。 普段 接点のないようなタイプ、しかも男性。 苦手だけど、今は彼に頼るしかない。 わたしは考える間もなく、ヒヨコのように彼の後ろを着いていった。
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