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「仕方ないよ。お父さんの仕事の、大切な取引先の人とのお見合いだもん。断れないよ……」
わたしは必死で宥める。
お姉ちゃんは眉間にしわを溜めて、重く息を吐いた。
「とりあえず、会うだけ会ってみるさ」
「うん」
自宅前のタクシーに乗り込んだ姉が笑う。わたしはエールを送ると手を振った。
お父さんの経営する小さな会社に、いっぱい援助をしてくれてる大きな会社の社長が独り身の息子との見合いを姉に持ち出した。
酒の席でノリで決まった事ではあっても、相手の手前 下手に断れなく、お姉ちゃんはしぶしぶ見合いに出る事になった。
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