――序章。

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「結婚式は、来月なんだよね…」 「何を考えてるんだ、あいつは!」 お父さんは頭を抱えた。 わたしは何も言えずに黙ってるだけだった。 それに母が言う。 「祈里、お姉ちゃんの事はいいから、あなたは早く学校行きなさいね」 こういう時でも、母は冷静だった。 わたしは頷き、支度を済ませると家を出た。 徒歩で学校を目指しながらも、わたしは気が気でなかった。 「保さんって…」 昔、お姉ちゃんの大学時代に何度かうちに遊びに来てた、保さんていう男の人がいた。 音楽専攻で、ミュージシャンになるのが夢だとか言っていた。 仲が良いとは思ってたけど……。
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