13.

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「ぎゃっ!!……新八さん、僕巡察だからもう行くよ?」 「おお、平助。巡察なら体力つけなきゃな。ほらっ」 永倉は、そう言って私の残した漬け物を小柄な男──藤堂平助に差し出した。 体力をつけろと言うのなら、現在永倉が食べている、その焼き魚でもあげればいいのでは……?と、再び呆れた眼差しで彼を見た。 藤堂も、明らかに馬鹿にしたようなため息をついた。 彼は藤堂平助。 永倉同様、私の秘密を知る副長助勤の一人で、騒音トリオの巻き込まれ役兼からかわれ役だ。 永倉とは正反対で、小柄な体にきめ細やかな美白の肌を持ち、女の子のような見た目をしている。 女装すれば、完全に女だ。 人見知りが激しく、こんな見た目の私と目が合うと、いまだに悲鳴を上げる。 彼はいつも永倉の行動に巻き込まれ、からかわれ……今回もこうして、私の部屋までちゃっかり来てしまっている。 哀れに思う反面、悲鳴を上げる彼のへたれさ加減に呆れもしている。 「おーい、平助。隊士が門で待ってるぞ」 「やべっ!!新八さん、僕もう本当に行くからね」 「おお、京の平和を守ってこいよ、平助ちゃん」 「ちゃん付けするな!」 魚の尻尾が口から飛び出している姿で、永倉は口元をにやりと上げた。 その間抜けな格好に藤堂は呆れつつ、しかしちゃんとツッコミはして部屋の前から姿を消した。 それと入れ替わりに、朝、部屋に朝食を届けに来た原田が再び姿を現した。 「やっぱりここに来てたのか、新八」 「よお、左之。飯はあげねぇぞ」 「いらねぇよ。それより、運んできた分くらいは食べ切れよ。そんなに顔色悪いんだ、栄養足りねぇんだろ」 「……これはもとからだ」
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